1. エクリズマブ(Eculizumab)
エクリズマブは、補体C5に対するモノクローナル抗体で、補体カスケードを阻害することにより、炎症を抑制します。2019年、エクリズマブはNMOSDの治療薬としてFDAに承認されました。
- 作用機序: 補体C5を阻害し、膜攻撃複合体(MAC)の形成を防ぎます。
- 有効性: 大規模臨床試験(PREVENT試験)において、再発抑制効果が証明されています【参考文献1†source】。
2. イネビリズマブ(Inebilizumab)
イネビリズマブは、CD19を標的とするモノクローナル抗体で、B細胞を枯渇させることにより、病態進行を抑制します。
- 作用機序: B細胞表面のCD19を標的とし、B細胞を枯渇させます。
- 有効性: N-MOmentum試験において、再発リスクを大幅に減少させることが示されています【参考文献2†source】。
3. サトラリズマブ(Satralizumab)
サトラリズマブは、IL-6受容体に対するモノクローナル抗体で、IL-6シグナルを阻害することにより炎症を抑制します。
- 作用機序: IL-6受容体に結合し、IL-6シグナル伝達を抑制します。
- 有効性: SAkuraStar試験およびSAkuraSky試験において、プラセボ群に比べて有意に再発率が低減することが示されています【参考文献3†source】【参考文献4†source】。
4. ラブリズマブ(Ravulizumab)
ラブリズマブは、エクリズマブの改良型で、同様に補体C5を標的とするモノクローナル抗体です。ラブリズマブは、長い半減期を持ち、より少ない投与回数で効果を発揮します。
- 作用機序: 補体C5を阻害し、膜攻撃複合体(MAC)の形成を防ぎます。
- 有効性: エクリズマブと比較して、長期にわたる効果と安全性が確認されており、NMOSDにおける有効性も期待されています。臨床試験では、補体活性の長期抑制が示されています【参考文献5†source】。
参考文献
- Soliris (Eculizumab): A study in the efficacy of Eculizumab in patients with NMOSD. Neurology, 2019. PREVENT trial results.
- Inebilizumab: Effectiveness and safety in patients with NMOSD. The Lancet Neurology, 2020. N-MOmentum trial.
- Satralizumab: Phase 3 trial results in NMOSD patients. New England Journal of Medicine, 2019. SAkuraStar trial.
- Satralizumab: Additional phase 3 trial results. Lancet Neurology, 2020. SAkuraSky trial.
- Ravulizumab: Long-term efficacy and safety in complement-mediated diseases. Journal of Clinical Medicine, 2020. Ravulizumab study.
これらの生物学的製剤は、NMOSDの再発を効果的に抑制するための重要な治療オプションとなっています。各製剤の効果と安全性については、臨床試験の結果をもとに個々の患者の状態に応じて使用が検討されます
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