IgGインデックスとは?
1. IgGインデックスの定義と目的
IgGインデックス(Immunoglobulin G Index)は、主に神経学的疾患の診断や評価に使用される検査の一つです。特に多発性硬化症(MS)などの中枢神経系の病気の診断において重要な役割を果たします 。IgGインデックスは、脳脊髄液(CSF)中のIgG濃度と血清中のIgG濃度を比較することで算出されます。この比較により、血液脳関門の機能や中枢神経系内での抗体産生の異常を評価します 。
2. IgGインデックスの計算方法
IgGインデックスは以下の数式で計算されます:
IgGインデックス
=
(
CSF中のIgG濃度
血清中のIgG濃度
)
×
(
血清中のアルブミン濃度
CSF中のアルブミン濃度
)
IgGインデックス=(血清中のIgG濃度CSF中のIgG濃度 )×(CSF中のアルブミン濃度血清中のアルブミン濃度 )
この数式により、CSF中のIgG濃度が血清中のIgG濃度に対して異常に高いかどうかを評価します。通常、IgGインデックスが0.7~0.9を超えると、脳内での異常なIgG産生が疑われます 。
3. IgGインデックスの臨床的意義
a. 多発性硬化症(MS)
多発性硬化症は、免疫系が中枢神経系を攻撃する自己免疫疾患です。MS患者では、脳脊髄液中のIgG濃度がしばしば増加します。IgGインデックスが高いことは、MSの診断において有用な指標となります 。特に、MRIや臨床症状と組み合わせることで、より正確な診断が可能となります 。
b. 他の神経学的疾患
IgGインデックスは、他の中枢神経系疾患の診断や進行状況のモニタリングにも使用されます。例えば、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)やライム病の診断にも役立ちます 。
4. IgGインデックスの制限と注意点
IgGインデックスの測定にはいくつかの制限があります。例えば、血液脳関門が破壊されている場合、IgGインデックスが高くなることがあります。また、急性の感染症や炎症がある場合も同様です。したがって、IgGインデックスの結果を解釈する際には、臨床症状や他の検査結果と併せて慎重に評価する必要があります 。
5. まとめ
IgGインデックスは、中枢神経系疾患の診断において重要なツールです。特に多発性硬化症の診断においては、その有用性が高く評価されています 。ただし、結果の解釈には慎重を要し、他の診断手法と組み合わせて使用することが推奨されます 。
参考文献
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